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ジョージ・ミラー(George Armitage Miller 1920年2月3日, ヴァージニア州西部チャールストン生 - )はアメリカの認知心理学者、認知科学者。現プリンストン大学心理学科教授。アメリカ心理学会(APA)元会長。「不思議な数7[1]や「プランと行動の構造」を著したことで有名。心理学者のニールミラーについては、こちら


経歴と業績[]

学歴についてミラーは1940年にアラバマ州立大学で文学部の学位を、1946年にハーバード大学で心理学の博士号を取得した。大戦間もないハーバード在学時の彼の研究対象は、発話と知覚であった。1948年の一連の実験的研究は、クロード・シャノンのコミュニケーションの数学的な理論に刺激を受けたもので、知覚者の期待が聴覚知覚に及ぼす影響を検討したものであった。1951年にミラーは上記の研究をまとめ、「言語とコミュニケーション」(Language and Communication)として著した。この本は心理言語学心理学の一テーマから学問として独立させることに貢献した。またミラーはシャノンに倣い、情報という概念を一時的な記憶(すなわち短期記憶)の説明にまで拡張を試み、この作業は後の1956年に認知革命の発表の一つとして実を結ぶこととなった。また、ミラーは人間の記憶システムにチャンキングの考えを導入した(船津, 1999)。

この業績からミラーは記憶研究者として著名であるが、上述の通り言語に早くから大きな関心を寄せた。若き日のミラーは会話中の単語一語あたりの情報量を見積もる研究を通じて、例えば、ノーム・チョムスキーの研究の影響を受ける。チョムスキーの研究はミラーに、文法法則がいかに精神に影響を及ぼすかを示し、続く10年はチョムスキー理論の心理学的な「含み」を検討することとなった。

こうした情報と精神の関係の研究分野にまで関心を広げたミラーはその「社会的基盤」確立にも尽力し、1960年には認知発達の研究者であるジュローム・ブルーナーと共にハーバード大学に認知研究センター[2]を設立し、同年にはここで、ユージン・ギャランターカール・プリブラムとともにサイバネティクスの観点から心理行動を考察した著作「プランと行動の構造」を出版した。同著作は言わば認知心理学の草稿と言えるかもしれない。いずれにせよこの頃からミラーは人間精神を科学的に探求する新しい分野の告知活動に精力的であったことは明らかである。こうした中で1962年には全米科学アカデミー[3]の委員に選出された。1969年にはアメリカ心理学会の会長に就任をした。

1970年に入る頃からはミラーは文法規則よりもむしろ語彙集[4]すなわち「知識(長期記憶)としての言語」に具体的な関心事を移し、1976年にはフィリップ・ジョンソン=レアードとの共著「言語と知覚」を著した。そして1970年後半からはスローン財団(Sloan Foundation)の認知科学推進プログラムの顧問を努め、この新しい巨大な分野を経済的にバックアップすることに尽力した。

ミラーはその後も1985年から英語圏の人々を対象とした単語間の意味類似等の調査および語彙のデータベース化を試み、それをワードネット[5]というプロジェクトの指導役として走らせた(1989-1994)、これは人工知能の言語運用研究や機械翻訳へ大きな影響を及ぼした(なおワードネットプロジェクトは現在も発展中)。こうした数々の業績ならびに認知科学の発展経緯を考えると、二人の多大なる認知科学の貢献に基づけば不適切な言い方であることは否めないが、それでも他分野にまで大きな影響をもたらした理論家チョムスキーが認知科学の「産みの母」、一方制度確立や財団とのパイプ役等にもなったミラーは認知科学の「育ての母」と考えることが出来るかもしれない。

なお、教授職としては現在のプリンストン大学の他に、過去にロックフェラー大学マサチューセッツ工科大学 MITハーバード大学と心理学や認知科学が盛んな場所で教鞭を執ってきた。教務関係以外でもオクスフォード大学では特待研究生(Fullbright Research Fellow)。また以下で述べる数々の功績から1991年には彼はアメリカ国家科学賞(National Medal of Science)を受賞している。

脚注[]

  1. Magical Number Seven, Plus or Minus Two: Some Limits on our Capacity for Processing information, 1956
  2. 英:the Center for Cognitive Studies
  3. 英:National Academy of Science
  4. 英:lexicon
  5. 英:Word Net


業績・著作[]

  • 不思議な数7(1956)
  • プランと行動の構造 心理サイバネティクス序説(1960)



関連リンク[]



翻訳元[]



参考文献[]


ブックガイド[]